以前から気になっていた『HOクランクと非HOレバーの組み合わせ』。
交換の機会があったので試してみました。
製品概要
まずは軽くレビュー。
外観
箱を開けると、綺麗に塗装されたアームが目に入ってきます。
今回はブラックを選びましたが、艶消し部分の質感も申し分なく想像以上。とても上品な仕上がりです。ただ、塗膜はちょっと傷に弱そうなので気をつけた方が良さそう。
HOの相性問題
このPOTENZAクランクは、アームの一本に『HO』のマークがあるHOモデル。マークのない非HOモデルと比較すると
- HOマークがある
- ウルトラトルク(非HOはパワートルク)
- チェーンリング間距離が0.4mm広い
- チェーンラインが1mm広い
という違いがあります。
ウルトラトルクになったのは嬉しいですが、問題はチェーンリング間距離が広がっている点。
シマノもR9100世代でほぼ同様の変更があったようですが、あちらでは旧FDと新クランクで相性問題がある模様。
これは、チェーンリング間距離拡大に対して、「レバー側の巻取り量はそのままに、FDのテコ比を変更する」ことで対処したためと思われます。
一方、カンパはその逆で、FDはそのままにレバーが新型のHOになりました。
これはつまり、チェーンリング間距離拡大に「レバー側の巻取り量を変更する」ことで対処していると推測できます。
すると、です。
非HOレバーとHOクランクを組み合わせると、問題が生じる可能性があるワケです。
今回はあえて、その非推奨の組み合わせを試してみました。(ウルトラトルクが使いたかったことと、パワートルク用ベアリングカップの入手困難だったことが理由です。)
組付け
専用工具やトルクレンチを用意したりと、スクエアテーパーと比べるとだいぶ面倒でした。その分チェーンラインやQファクターは綺麗に揃えられます。
使用したものは
- ロックタイト(低強度)
- ホローテックbb着脱工具
- 35N/m対応のトルクレンチ
- ウルトラトルクbbカップ(bsa)
です。大まかな手順としては
- ロックタイトをbbカップに塗る(ピンも抜いておく)
- ホローテックbb着脱工具をトルクレンチに装着
- bbカップを35N/mで締め込む
- クランクを嵌めて固定ピンを挿す
といった感じです。
カンパbbカップの装着手順は時期によってまちまちのようですが、調べた結果これで行きました。
また、今回、ホローテックbb着脱工具にグランジの金属製を選びましたが、ミスってbbカップが傷だらけに…。
このように、傷防止に適当なものを噛ませるべきでした。(写真は反省を活かした取り外し時)
装着図。
5アームの見た目には敵いませんが、意外と悪くない気がします。
互換性・インプレ
変速性能
1番気になっていた部分。
あくまで僕の調整スキルにおいてですが、結論は『使えなくはない』レベル。
具体的には調整がシビアになり、チェーン落ちが増加しました。ですが、「ガリガリする」「落ちまくってどうしようもない」というほどではないので、この評価に。
何とか使えますが、やはり、ディレイラーの移動量が少し足りない気がします。メンテナンススタンドでは完璧に見えても、実走だとなぜか落ちたりするんですよね…。
これが元々の性能ということは無いはず。
ちなみに、今まで経験した組み合わせを変速性能の良い順にランク付けすると下記の通りです。今回のポテンザ無印&HO混成は4番目。
- wレバー & FD4700 & スギノアルピナ
- ポテンザ&マイティツアー48T
- ポテンザ&マイティツアー46T(rideaスペーサーあり)
- ポテンザ&ポテンザHOクランク
- ポテンザ&マイティツアー46T
フロント変速性能だけにフォーカスすると、実はwレバーは圧倒的だったり。アウターが全くないうえに、ケーブル長も最短ですからね。安物クランクでもヌルヌル変速します。(トリムは面倒ですが…)
②のマイティツアー48tは、その安定性を引き継ぎつつも引きが少し重くなった版。
③のマイティツアー46t(スペーサー付き)は②の48tとほぼ同等ですが、気を遣うシーンが稀にあります。
④ポテンザ無印&HOではそういったシーンがかなり増えます。
そして最後、⑤46tにスペーサーなしだと、奇跡的に調整が上手くできた場合を除いて、ガリガリ&チェーン落ち連発でストレスフルでした。(なぜか一度だけ、完璧な調整ができました)
剛性
スクエアテーパーと比較すると、明らかに剛性が高いです。
「剛性?素人にはわからんでしょ」って思ってましたが、かなりはっきり感じ取れます。スクエアテーパーの中では高剛性のマイティツアーと比べてもです。
一方、剛性の高さによるメリットは、正直よく分かりませんでした。これは乗り手のレベルがその域まで達していないということでしょう(笑)。
Qファクター
これも明確な変化を感じ取れ、狭くなりました。まあ、スクエアテーパーはbbと締付け次第で変わりますが…
相対的に見ると、シッティングで回しやすく、ダンシングしづらいです。剛性とこの部分で、バランスが取られているような印象です。
クランク長
実は今回、167.5mm→170mmと長くしました。
165→167.5が違和感なく移行できたので、今回も大丈夫と踏んでの変更です。合わせてサドルも下げました。
ファーストインプレッション
走り出すとトルクが掛けやすくなっており、加速しやすいです。「これはいいかも!」と思いました。
また、当然ですがモモを大きく動かすため、身体を大きく使ってペダリングが上手くなったような、そんな気がしました。
距離が伸びると
先程とは一転、167.5と比べて疲れやすさを感じるように。身体を大きく使っているのではなく、「使わされている」という感覚です。
また、下ハンを持って深い前傾をとった際、167.5では感じなかった「胸回りの空間の窮屈さ」を感じました。身体激固なので…
結論
練習を積んでタイムを追求するならありかもしれません。ですが…今の自分では無駄に体力を消費してしまい、ちょっと合わない気がします。
残念ですが、以前のマイティツアー167.5に戻しました。
おまけ ケンタウル11sの互換性
ちなみに、ケンタウル11sの互換性はというと…
ポテンザHO互換になります。
現時点でポテンザHOクランクを使いたいなら、レバーだけケンタウル11sにするのがベストでしょう。ケンタウルユーザーのアップグレード先としてもオススメ。
幸いポテンザ無印&HOの相性は全く使えない!という訳ではないので、とりあえずこの状態でゆくゆくは『右レバーの予備も兼ねてケンタウル11sを買う』というのもアリ。僕自身、クランク長がしっくり来ていれば、その予定でした。
まとめ
今回は無印ポテンザのレバーにHOクランクを合わせてみました。
気になる相性は△。
僕の調整スキルでは完璧な調整ができず、少なくともマイティツアー48T未満の性能しか出せませんでした。
ということで、それなりに使えはしますが非推奨です。見た目が気に入ってどうしても使いたい場合、最終的にはケンタウル11sレバーと合わせることをオススメします。
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