2018年から12速に移行開始したカンパニョーロ。
これによって現在のカンパロード用コンポは
- 12s スーパーレコード
- 12s レコード
- 12s コーラス
- 11s ケンタウル
というラインナップになっています。(13sのエカルはちょっと置いときます)
カンパというと『実用性無視の嗜好品』みたいに語られがちですが・・・実は、新生コーラス&ケンタウルはユーザーのことを非常によく考えて作られているんです。
以下、その理由を解説していきます。
ココが凄い!! 新生コーラス&ケンタウル
絶妙なギア比のスプロケット
この2コンポ…
スプロケットの繋がりが素晴らしい!
ちょっと詳しく見てみましょう。
コーラス12s
11-29T:11–12-13-14-15-16-17-19-21-23-26-29
11-32T:11-12-13-14-15-16-17-19-22-25-28-32
11-34T:11-12-13-14-15-16-17-19-22-25-29-34
ケンタウル11s
12-32T: 12-13-14-15-16-17-19-22-25-28-32
いかがでしょうか。
12-17tまで1段ずつ綺麗に繋がってますね。(コーラスは11tも)16Tが加わったことがカンパ12速世代のアピールポイントなんですが、これが大きいんです。
ツーリングの際、気持ちいい速度は28~33km/h、頑張って35km/hくらい。16Tがあることで30km/h付近が1段ずつという理想的なギア配置になり、気持ちよく走れます。
32T | 28T | 25T | 22T | 19T | 17T | 16T | 15T | 14T | 13T | 12T | 11T | |
50T | 16.7 | 19.2 | 21.5 | 24.4 | 28.2 | 31.6 | 33.6 | 35.7 | 38.3 | 41.3 | 44.8 | 48.8 |
48T | 16.1 | 18.4 | 20.6 | 23.4 | 27.2 | 30.3 | 32.2 | 34.4 | 36.8 | 39.6 | 42.9 | 46.8 |
表はケイデンス85rpmの時の走行スピードですが…
ここでもし16Tがなければ17T→15Tと1段飛ばしになり、一気に速度が4km/hも変わってしまいます。つまり、その分急に重くなってしんどい。(クロスレシオ以外の多くの11sが該当)
コーラス・ケンタウルはローが29T〜34Tまであるにも関わらず、上手くギア比を選定しています。
これがシマノだと、ジュニアスプロケットや12-25T・11-25Tを選ばない限り実現できません。雰囲気や握り以外でも、カンパを選ぶ理由がここにあります。
ケンタウル11s は実質 12s
ここで、コーラス11-32Tとケンタウル12-32Tのスプロケットを比べてみましょう。
コーラス 11-32T
11-12-13-14-15-16-17–19–22-25-28-32
ケンタウル12-32T
12-13-14-15-16-17–19–22-25-28-32
そうです。
ケンタウル11s は11Tがないこと以外、コーラス12s と全く同じギア比なんです。
競技派の方はともかく、ツーリング派には11Tなんてほぼ使わない、って方も多いんじゃないでしょうか。僕がまさにそうです。下りも危ないのでそこまで飛ばしません。
つまり、そういう人々にとって・・・
ケンタウル11sは実質12速。
仕上げとデザインの差はありますが、リーズナブルに12sのメリットを享受できるコンポ。それがケンタウル11s。これはカンパの良心という他ないでしょう。
エルゴパワーの握りや変速フィール も健在ですし、(国内定価はまだ高いものの)実売価格だとシマノ105に対抗できる価格になっています。
上画像のリンク先baike24では、執筆時点でシルバーが約430~450ユーロ=約54,000~57,000円でした。(※2021.1時点)
さらにブラックはなんと、約378~386ユーロ=約47,800~48,700円!(※2021.1時点
)
どちらも送料20ユーロ=約2,500円 + 関税(消費税よりは安い)が別にかかりますが、それを入れても破格。この値段で実質12速のカンパが手に入るんです。
一方、105 R7000は国内通販でボリュームゾーンが5,6000円、たまに安くて5万くらい。
シマノの海外通販通販が封じられた今、105との価格差はうまく買えばほぼありません。カンパや12sは気になるけど、やっぱりお高いんでしょう?って方にこそお勧めしたいです。
ケンタウル11sは12速コンポ登場に先駆けて出てきたんですが、この仕様といい、ロゴの書体(POTENZAなど11速世代とはデザインラインが明らかに違う)といい、12速時代を意識したコンポだったんですね。
▼ケンタウル12-32T&POTENZA混成コンポのインプレ
コーラス12sの大本命 48-32Tのカーボンクランク 165mmアリ
先ほどはケンタウル11sの素晴らしさを語りました。じゃあコーラスは高いだけかというと、そんなことはありません。仕上げや素材、形状が違うほか・・・
コーラス12sには48-32Tのクランクが用意されています。
コンパクトクランクはまだまだ大きい
コンパクトクランクがスタンダートとなって随分経ちますが、個人的にはフロント50Tはまだ大きく、「50×11T、50×12T」を使う場面は滅多にないと感じています。
48×12Tでも110rpmで回せば55.2km/h出ますし、下りで飛ばしすぎるのも危ないので、十分です。46Tでもいいくらい。
そう考えてスギノの48×34Tクランクを愛用してきましたが、コーラスはそこからインナーがマイナス2された48×32T。
リア11-32Tならギア比1:1が実現でき、激坂がさらに安心になります。リア34Tなら怖いもの知らず。
それに、こういう尖ったギア比が純正品であるってのは、安心して使えて良いです。
スギノにも32Tや30Tのインナーが使える「コンパクト+」という製品があるんですが、カンパとの相性がちょっと不明なんですよね。情報が少ないカンパだと、高価なサード製品に手を出すのは勇気が必要です。
(ちなみにスギノ46-34Tと無印potenzaではRIDEAのFDアングルスペーサーがほぼ必須でした)
50T、48T走行シミュレーション
50Tと48Tをケイデンス85rpmと100rpmで比較した表が以下になります。
11T | 12T | 13T | 14T | 15T | 16T | 17T | 19T | |
50T | 48.8 | 44.7 | 41.3 | 38.3 | 35.8 | 33.5 | 31.6 | 28.3 |
48T | 46.8 | 42.9 | 39.6 | 36.8 | 34.4 | 32.2 | 30.3 | 27.1 |
11T | 12T | 13T | 14T | 15T | 16T | 17T | 19T | |
50T | 57.4 | 52.6 | 48.6 | 45.1 | 42.1 | 39.5 | 37.1 | 33.2 |
48T | 55.1 | 50.5 | 46.6 | 43.3 | 40.4 | 37.9 | 35.7 | 31.9 |
ばらつきはあるものの、だいたい0.5段分ほど軽くなっていますね。
48T化によって、30km/h付近に余裕ができるとともに、スプロケをまんべんなく使えるようになることが分かります。
34Tと32Tをコーラス各スプロケで比較すると(激坂想定のケイデンス65rpm)
19T | 21T | 23T | 26T | 29T | |
34T | 14.7 | 13.3 | 12.1 | 10.7 | 9.6 |
32T | 13.8 | 12.5 | 11.4 | 10.1 | 9.1 |
19T | 22T | 25T | 28T | 32T | |
34T | 14.7 | 12.7 | 11.2 | 10.0 | 8.7 |
32T | 13.8 | 11.9 | 10.5 | 9.4 | 8.2 |
19T | 22T | 25T | 29T | 34T | |
34T | 14.7 | 12.7 | 11.2 | 9.6 | 8.2 |
32T | 13.8 | 11.9 | 10.5 | 9.1 | 7.7 |
ばらつきはありますが、色を付けた箇所を見ると、だいたいリア2T分ほどの違いですね。
28×34Tと26×32Tがほぼ同じです。
と、いうことは・・・「インナー34T & 11-31T」の感覚で11-29Tを運用できそうです。
リア29だけ見ると、もう少し大きいギアが欲しい感覚になりますが、これなら大した差ではありませんね。ローギアがこれで十分なら、イチオシかもしれません。
また、32×34Tの軽さは圧倒的ですし、よく見ると25Tまでは11-32Tと同じ。意外にも30km/h付近で使うギアはクロスレシオなので、積極的に選べそうです。
スプロケは3種と一見多くないですが、トップもローも妥協しない、欲張りかつ実用的な選択が可能な点がコーラスの強みといえそうです。
それから、ケンタウルに油圧ディスクモデルはないので、ディスクロードは基本コーラスになります。(TRP hy/rd をカンパで引けるようにする改造や、グロータックの機械式もあるようですが・・・)
※ちなみにコーラス12sリム版の価格は、bike24で約840ユーロ=106,000円でした。だいたいケンタウルの倍、アルテグラより1~2万高いくらいです。
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