2019年7月から使い始めたカンパニョーロのPOTENZA11。
カンパニョーロの12s移行に伴い、2020年から廃盤のようで寂しい限りです。
そこで…忘れられない今のうちに!こいつの良いところ・悪いところ諸々をツーリング派目線で語りたいと思います。
長くなったので、インプレだけ読みたい方は目次からどうぞ。
POTENZA11徹底解説
まず、POTENZA11がどんなコンポかについて。
ポテンザ?ポテンツァ?
国内では2016年にアテナ後継の11sエントリーモデルとして発売。
読み方はポテンツァ11。(でもポテンザの方がしっくりくるので本ページではポテンザと呼びます笑)
グレード的にはスーパーレコード、レコード、コーラスに続いて上から4番目。
コーラスをアルミ&パワーシフトにしたモデルです。カラーはブラック・シルバーの2色。
ちなみに、クランクはパワートルクプラスという新構造。
仕組みとしてはスクエアテーパーの「ワンキーリリース」と同様のようで、プーラー無しで取り外せます。
(なんで最初からそうしなかったかな・・・)
POTENZA “HO” について
2018年のマイナーチェンジでクランクの設計が変わり、ウルトラトルクになりました。(だから最初から…ry)
この2018以降のモデルが「POTENZA HO」で、エルゴパワー、クランク、リアディレイラーにある「HO」の印字が目印です。
※エルゴパワーにはHOリム版とHO油圧版が別にあります。
これらのパーツは、2017以前のモデルと互換性は無いとされています (カンパ公式) 。
一方、その他パーツはPOTENZA全モデル共通。
なぜこうなるかというと、2018年登場のPOTENZA油圧ディスク版に合わせて、クランクのチェーンリング間距離が広げられたためです。
コーラス以上の油圧ディスク版では、クランクは油圧専用のH11クランクを使用しますが…
POTENZAでは、油圧用に設計変更されたHOクランクをリム版・油圧ディスク版で共用。
そして、クランク変更に合わせてエルゴパワー・クランクも変更されてHOとなりました。
エルゴが変わった理由はトリム位置変更への対応でしょう。
RDについては…
コーラス〜スーレコにもHOリアディレイラーが存在し、そちらは調べた限りだと
コーラス以上もディスクブレーキ、142mmエンド幅に対応するため2018では若干変わります。
ここでは互換性は保たれます。
ライトサイクル ブログ
とあります。
おそらくPOTENZAも同様と考えて良さそうです。
以上ですが、少しややこしいですね。
それに、通販サイトだとHOとHOじゃないモデルが混在しています。
特にwiggleは油圧ディスクグループセットの画像がリム版HOエルゴになってたり。
私はそれを見てHOエルゴ=油圧ディスク用と勘違いし、HOリアディレイラーとHOじゃないエルゴを買ってしまいました・・・。
まぁ、普通に問題なく使えたのでいいんですが、当時は「やられた!」と思いました。
まとめると
HOは「2015-2017モデル」と「2018〜モデル」の区別するため、後者につく名称。
HOがつくパーツはエルゴ、クランク、リアディレイラーの3つ。
エルゴには非HOリム版、HOリム版、HO油圧ディスク版が存在。
公式にはHOと非HOは互換無し。
(しかし、実際はある程度互換性はあるようで、手元の非HOエルゴとHOリアディレイラーの組み合わせはOK。個人的には、エルゴとクランクを混ぜた場合の使用感が気になります。)
神経質になる必要はありませんが、これから買う方は知っておいて損はないです。
▼HOクランクを入手して検証しました!▼
デザイン賛否両論(シルバー)
このコンポの特徴は次の4点。
- 「アルミ製」で4アーム
- “カンパにしては”安い
- シルバーがある
- ポリッシュと艶消し混在のデザイン
こうしてみると上2つは11sケンタウルと一緒ですし、値段に関しては完全にお株を奪われてます。
まぁ、僕もケンタウルとの混成が実現できなければ買ってないですし・・・
特にスプロケット。カンパのスプロケってなんであんなに高いんでしょう?
…ということでケンタウルある今、こいつを評価するならデザインにつきます!さっそく見ていきましょう。
良いところ
まずはクランク。
艶消しの使い方が上手く、いいアクセントになってます。
これによって太いアームがスマートでメリハリある印象に。ケンタウルもですが、コーラス以上と比べて2時方向のアームが細い点もポイント。
正直コーラスやレコードよりもスマートで好み。
4アーム史上最もカッコいいと思います!
(個人的に次点は12sレコード&エカル。12s世代はPOTENZAをベースにシャープ&エアロにしたような雰囲気でカッコいいですね。)
次にリアディレイラー。
コーラス以上と素材は異なるものの同形状で、ぬめっとした滑らかな曲線が美しいです。ポリッシュの良さが生きていますね。
シルバーに黒が混じってるのはここが樹脂パーツだからですが、コーラス以上の設計を継承した証で軽量化に貢献しています。こういう機能的に根拠のあるデザインは納得できるので、シルバー1色じゃなくても許せます。
僕はシルバーにこだわってカンパに辿り着きましたが、実物だと意外と気になりません。
ロゴ部分の艶消しも良いアクセントになってます。
唯一ネガなところは、裏側のケージプレートが黒いことでしょうか。
コストダウンと思いきや、ケンタウルはシルバーなのでそうでもなさそう。ただ『黒くしてみた』だけらしい…
とはいえ、総合的には満足度の高いパーツです。
最後はエルゴパワー。
ロゴがケンタウルよりカッコいいです。センターの艶消しもセンスがいい。
ただ、実物は画像と比べると艶消し部分の質感が劣る点と、やや汚れやすい点が玉に瑕。
悪いところ
ブラックの方はあまり問題ないんですが・・・
シルバーは一部パーツが車体との親和性に問題があります。
さっき褒めたクランクですが・・・シルバーは車体との組み合わせが難しい。
単体で見るとめちゃくちゃカッコいいんですが、バイクに合わせると悪目立ちしがちで、多くの場合5アームに見劣りします・・・。
ブラックの方は収縮色の効果で、細身なクロモリにも意外と馴染むんです。モダンデザインと割り切れますしね。
シルバーは膨張色の効果で浮いて見えちゃうんですよね。
▼悩ましい例(ラレーのカールトンチームTI)
▼似合ってる例
theradavistというサイトで紹介された北米ビルダー「 the vanilla workshop 」のバイクですが、モダンで太目パイプかつ、ホワイトのサドル&バーテープだと合わせやすいかも?大きなフレームサイズも効いてそうです。
また、もう一点。
パーツによって艶消し部分の質感とデザインセンスの差が激しいです。
ブレーキとフロントディレイラーは艶消のセンスが微妙。クランクとエルゴはカッコいいのに・・・。
(※ここもブラックだと気にならないと思います。)
ブレーキ
艶消しの質感自体は全パーツトップクラスに良いです。クルマのホイールにありそうな感じ。
ですが・・・その配置が微妙!左半分は艶消し、右半分はポリッシュという雑さ。クランク側から眺めると、艶消し部分しかみえないんですよね・・・。シューの舟が黒いのNG。
フロントディレイラー
これはまず、艶消しの質感がイマイチ。粉を吹いたような感じの見た目です。ブレーキと同じ質感を想像していたので、箱を開けた瞬間がっかりしました。
土台が黒いのもNG。
これらの艶消し&ブラックはコンポ全体の配色を考えてのことなんでしょう。
しかし、単に好みでないだけでなくRDと違ってデザインに必然性を感じないから納得出来ないんですよね・・・
この2パーツは正直、綺麗なポリッシュなケンタウルの方が完成度高いです。
ブレーキは売って、Dスケルトンの2009ケンタウルを買い直しました。
擁護するなら、15,000円くらいだったDスケルトン時代と比べると、POTENZAスケルトンブレーキは7000円くらいで半額以下。
値段は頑張ってると思います。
とはいえ、ケンタウルに質感・デザインで負けるってどうなの?(値段高いのに…)
(ケンタウルは後発なので、『ポテンザの反省を生かしてデザインされた』可能性はありますが。)
インプレ
論評はこれくらいにして、ここからは実物の写真を交えて使用感に触れたいと思います。
ちょっと辛口になりましたが、ポテンザ気に入ってるんです。
▼全体像
エルゴパワー
HOじゃないモデル。
いつ見てもカッコいい。そして、握り心地がいい。
これのためにカンパニョーロに変えました。
よく、
『エルゴパワーはstiより握りやすい』
と言われますが、個人的に今のシマノは十分握りやすいと思ってます。
実は、wレバー → カンパ化のきっかけはクラリスr2000&ティアグラ4700のSTIの握りやすさにときめいた事だったり。古のシフトなしレバーと比べれば、彼らも十分人間工学を感じさせてくれます。
それを踏まえて感じるのは、
『エルゴパワーは握っていて気持ちいい』
ということ。そう、気持ちいい!握りやすいとか持ちやすいじゃないんです。ずっと握っていたいし、暇があったら握りたい・・・カンパの官能性を体現した存在といえます。
一方、当然かもしれませんが、シフトなしレバーと比べてセッティングはややシビアと感じました。
ハンドルとの相性も多少変わってきます。(ディズナ・ワンバイエスはSTI向きで相性が悪い傾向)
その分、ばっちり決まれば最高。
エルゴのもう1つの特徴が親指レバー。ポテンザはパワーシフトなので単発操作ですね。
リア変速についてですが・・・
この親指レバーのシフトダウン(重くする操作)が非常に気持ちいいです。
軽快に、かつしっかり手応えあるクリック感。レバーというより、押し心地の良いボタン感覚でプチプチ潰しとかに近いものがあります(笑)。
変速タイミングは手を離した瞬間ですが、レスポンスがいいのでリア連打もいけます。つい「ポチポチポチッ!」と押したくなります。
また、下ハン含め色々なポジションで届きやすく、力が要らないので操作しやすいです。上ハンから、小指を伸ばしてシフトダウンという芸当も可能。
シフトアップ(軽くする操作)の方はまぁ、普通です。シフトダウンみたいな気持ち良さはありませんが、ストレスはないです。
FD
クランクはスギノMighty Tour 48-34、ペダルはpd-m9020。
POTENZAにするか迷いましたが、167.5mmが使いたかったのと、前述したデザインの親和性問題でスギノを採用。
カンパクランクは雨天走行後のオーバーホール推奨という話もあり、自転車旅も想定して耐水性を重視したのもあります。
やはりクロモリに5アームは似合いますね。
シマノ用クランクですが、問題なく変速します。
カンパのFDアライメントツールを使えば、チェーン落ちしないのは当然、さらにスパスパ変速します。
トリム操作はインナー内より、インナー外よりのみ。アウターにはありません。緩いアップダウンなら、トリム不要で走れます。
RD
HOロングケージ。
12sやシマノのシャドータイプ程ではないもののスプロケットによく追従して動きます。ハイローアジャストボルトが六角で舐めにくいのもgood。
アルミのヌメッとした曲線が美しく、POTENZAで一番好きなパーツです。
重量も軽く、はじめて持った時は「こんなに軽くていいの!?」とちょっとびっくりしました。(ティアグラ4600比)
前述の通り、HOのRDを非HOレバーで引いてますが、今のところ問題はありません。
スプロケットはケンタウル12-32。
12-13-14-15-16-17-19-22-25-28-32の神構成
なんとコーラス12s 11-32Tと11t以外同じ!
つまり実質12s!!
これがあったから11s化に踏み切れました。
シマノだと「11s 11-28」は「10s 12-28」に使わない11tが増えただけですし、「11s 11-32・34」はちょっと飛び飛び感。この12-32はちょうど良いんです。
絶妙な構成を用意してくれたカンパに感謝です。
▼コーラス12s&ケンタウル11s▼
おまけ 2009ケンタウルブレーキ
Dスケルトン時代のもの。
よく見るとポテンザや2015以降のコーラスとは形状・構造が異なり全く別物です。
ポテンザよりリターンスプリングが弱く、さらに引きが軽いことが特徴。
軽い力でフィーリングに任せてふわっと、しかし確実に効きます。「これがカンパのブレーキか」と感心しました。
シングルピポッドは最初敬遠する気持ちがありましたが、フロントがしっかり効くので制動力は十分です。
調整しやすさ、引きの軽さという点ではやはりデュアルピボットに軍配が上がりますが、リアは添えるだけという気持ちでいれば大丈夫かと。
構造がシンプルなので分解清掃しやすいという、隠れた利点もあります。
最後に
長くなりましたが、お読み頂きありがとうございました。
どうだったでしょうか、POTENZA。いろいろ書きましたが私は好きなコンポです。
中古も安く出回ってきましたし、ケンタウル11sと併せて新しい選択肢になるのではないでしょうか。
▼ポテンザHO UTクランクも試しました▼
コメント
こんばんは^^
ポテンツァいいですね
(カンパニョーロが好きで、機械式スーパーレコード コーラス アテナと電動スーパーレコードEPSを使っています。)
ウルトラシフト(コーラス以上)は親指で重くするのが、もっと気持ちいいですよ〜
2〜5段飛ばしの快感が得られるのは、カンパに高い金を払った人の特権です笑
実は、私もパワーシフト(アテナ)の感触が好きなんです。1段ずつ親指で落とせるのは確実ですよね。軽くするレバーも、ウルトラシフトと比べると柔らかいので操作が楽なんです笑
ウルトラシフトは、よく言えばカッチリしているのですが 悪くいうと引きが重いですね笑 パワーシフトの方が実用的だったりして……汗
シマノはグレードが高いと引きが軽いので、逆のアプローチを取るカンパニョーロの姿勢は興味深いです。
「確実に俺はシフトした」という感覚をカンパニョーロは大事にしているそうです。